ピンポイントな記事ですが、刺さる人には刺さる記事だと思います。
もう32bit OSの殆どがEOLを迎えておりますが、まだまだP2Vをしたりして延命しているケースはあると思います。
何度かそういったレガシーなOSをAWSへ移行した際に気をつけなければいけない点、使えるインスタンスタイプ、CloudEndureのTipsを紹介したいと思います。
CloudEndureとは
2019年1月にAWSが買収したクラウド移行のツールです。
AWSユーザに対してオンプレミスからクラウドへ移行してもらう手段としてCloudEndureを提供しており、無料で使えるとことからAWSへの移行の敷居がCloudEndureが出たことでぐっと下がりました。
VMwareなどからのV2VはVMimport/ExportでAWSへ移行できていましたが、オンプレミス環境からだと有償ソフトウェアを使う必要があったり、OSレイヤー以上のアプリケーション、データの移行などを手動で行う必要がありました。
CloudEndureが無償提供されてからは、エージェントのインストールをしたらあとは転送が完了するまでまってカットオーバー(切り替え)をするだけでAWSに移行が出来てしまいます。
もちろんかなり古いOSなのですべてがすべてうまくいくわけでは無いですが、元のOSに問題なければほんとにスムーズに移行が出来ます。
AWSが「CloudEndure」を買収。マルチクラウド対応のライブマイグレーションツール
CloudEndureの構成について
以下の画像がCloudEndureのアーキテクチャになります。
左側がオンプレミス環境で、レガシーのサーバにCloud Endure Agentを導入します。
Cloud Endureの管理画面へアクセスし、レプリケーション設定などを行います。
AWS環境内では、ステージングのVPCと移行先であるターゲットVPCを準備して、ステージングVPC内にレプリケーション用のEC2が自動的に構築されます。
データ転送はTCP1500を使って転送されて、転送が完了するとステージングVPCでEBSとAMIを作成、切り替え時にターゲットVPCに作成したAMIからインスタンスをデプロイして移行を行います。
ユーザは複雑な手順を踏まずにCloud Endureがほとんど作業を行ってくれますので、ユーザはエージェントをインストールして設定を行うだけでOKです。
データの経路はインターネット経由、VPN経由、Direct Connect経由から行えます。
Cloud Endureで使用するポート
Cloud Endureで使用するポートは以下の画像の通りです。
移行元サーバからTCP:1500のアウトバウンドが空いていればOKです。
ステージングVPC内にデプロイされるレプリケーションサーバのプライベートIPかパブリックIPにアクセスできればOKです。
Cloud EndureのサポートOS
以下がCloud Endureで移行できるOSの一覧ですが、Windowsであれば2003も移行が出来るので32bit OSの移行するケースがあると思います。
Windows |
Microsoft Windows Server 2003 32 bit |
Microsoft Windows Server 2003 64 bit |
Microsoft Windows Server 2003 R2 32 bit |
Microsoft Windows Server 2003 R2 64 bit |
Microsoft Windows Server 2008 32 bit |
Microsoft Windows Server 2008 64 bit |
Microsoft Windows Server 2008 R2 64 bit |
Microsoft Windows Server 2012 64 bit |
Microsoft Windows Server 2012 R2 64 bit |
Microsoft Windows Server 2016 64 bit |
Microsoft Windows Server 2019 64 bit |
Microsoft Windows XP |
Microsoft Windows 7 |
Microsoft Windows 8 |
Microsoft Windows 10 |
Microsoft Windows Vista |
Linux |
SUSE Linux (SLES) 11 and higher. |
Debian Linux 8 and higher |
Kali Linux 2.0 and higher |
Ubuntu 12.04 and higher |
Red Hat Enterprise Linux (RHEL) 5.0 and higher |
Oracle Linux 6.0 and higher |
CentOS 5.0 and higher |
Cloud Endureで32bit OSを移行移行する時に選べるインスタンスタイプについて
本題ですが、Cloud Endureで32bitOSを移行する時のインスタンスタイプについて記載します。
本来AWSとして32bitOSが稼働できるインスタンスは限られています。
32 ビット AMI をサポートするのは以下のインスタンスタイプのみです。
t2.nano
、t2.micro
、t2.small
、t2.medium
、c3.large
、t1.micro
、m1.small
、m1.medium
、およびc1.medium
。32 ビットインスタンスのサイズを変更する場合は、これらのインスタンスタイプに制限されます。
https://docs.aws.amazon.com/ja_jp/AWSEC2/latest/UserGuide/ec2-instance-resize.html
最大のスペックでもc3.largeの2vcpu、3.75GBメモリになりますが、メモリは32bitの4GB制限があるので良いとして、CPUが元のオンプレミスで稼働してたスペックの要件が満たせないことがあります。
実際にEC2を立ち上げる際に32bitOSのイメージを選択すると、32bitOSが稼働が出来るインスタンス以外はグレーアウトしています。
新規構築する場合は制限がありますが、Cloud Endureで移行する場合はどうなるのか?というと、すべてのインスタンスが選択可能です。
ただし、例えば2003の32bitを移行する場合に2003がそもそも対応していないインスタンスタイプ(m5とか)を選ぶと警告が出ます。
実際に非対応のインスタンスタイプで選択すると起動しませんでした。
AWS側からするとCloudEndureでレプリケーションされたOSが32bitか64bitかの判断が出来ていないのですべてのインスタンスが選択出来てしまいます。
実際に稼働できるのかというとc4、m4、r4など2003が対応しているインスタンスだと問題なく起動できました。
もちろんAWSのサポート外になると思いますが、もともと32bitOSくらい古い場合はOSサポートも切れているので割り切って移行するのは全然有りだと思います。
32bitOSの制限を知らずに移行プロジェクトを勧めてしまっても最悪なんとか動きますのでご安心ください。
その他Cloud Endureで役立つTips
提案時などよく聞かれる質問や、事前に伝えるべき仕様などを記載します。
帯域制御が出来るのか
出来る。[Setup &Info]→[REPLICATION SETTINGS]内の「Network Bandwidth Throttling」のDisabledを外して指定の帯域に設定する。
Cloud Endureエージェントインストールで再起動が必要か。
再起動は不要。
CloudEndureで移行する際の前提条件などは
2003などであれば.Net Framework3.5などが必要で、.Netをインストールするために現在はWindows Updateサイトに繋がらないのでインストールメディアが必要。またインストール後に再起動が必要。
エージェントインストール後にすぐにデータ転送が開始しないようにしたい
「–no–replication」をつけてエージェントインストールすれば任意のタイミングでデータ転送を開始出来る。
また役に立ちそうなTipsがあれば随時更新します。
Cloud Endureのセットアップ方法などもまた機会があれば掲載したいと思います。
Cloud Endureの登場でAWSにリフト&シフトが簡単に出来るようになりました。
是非とも移行計画が出てきましたらCloud Endureを活用してみてください。
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